コロナ禍の２０２０年６月
東京八王子片倉に
ひっそりと産声をあげたカフェがあります。

「月待チ珈琲店」
１５年近く方丈庵に通ってくださった
久住則子さんのお店。

今から１３年近く前に
はじめてお会いした際
不思議とはじめて会ったようには
思えないご縁と運命を感じた方でした。

陶芸教室に通いながら
永きに渡りあたためてこられた
夢を実現されましたことに
心から喝采です。

その応援と開店お祝いの気持ちに
お店の看板を制作させて頂きました。
お客様からも
金属と間違えられるようですが
土もの、陶板でできています。
黒泥土に鉄飴釉を吹きつけています。


今から８年前に
西国立の無門庵にて
作品展を開催した際に
久住さんが気に入って購入くださった壁掛
「月の羽」
床の間の飾りにしてくださっています。

お茶室をカフェに。
とてもしっとりと落ち着いた雰囲気の室礼。
久住さんのお人柄そのもの。
細部に渡り気が配られ
調度品もとてもセンス光るものばかりです。

カフェを経営されるにあたり
方丈庵を卒業されるのを機に
今年５月
武蔵五日市の黒茶屋の糸屋ギャラリーにて
久住さんと私の二人展の企画を立てておりました。

が、この想像だにしなかったコロナ騒動。
黒茶屋さんも緊急事態宣言により
営業自粛、そして作品展も中止に。
（現在もギャラリーは閉廊されています）

久住さんは、轆轤の技術も創作のセンスも
方丈庵の中ではピカ１！
私の中ではダントツの一番弟子でした。
一番弟子どころか
もう立派な作家になれる圧倒的な独創性と
技術、そして集中力でした。

私の中では
まだ諦めておりません。
久住さんとの二人展。
そして作家への道も。

今の世の中
二刀流とか
ダブルワーカーとか
パラレルワーカーとか
っていうんでしょ？
得意なことを活かして
何役も演じられる世の中なのではないでしょうか？
能力がある人は
色々なステージで輝いて欲しいです。

カフェの店主と作家も
アリ、ですよね？



あまり、ここで種明かしをしてしまうと
お店を訪れた際の新鮮味に欠け
ネタバレになってしまうので
メニューに関してはナイショにしておきます（笑）

器も時々、店主の自作が並ぶことも。
方丈庵に通ってくださった時分も
持ち寄りランチや飲み会の際にも
とても美味しく美しいお料理や
ケーキやスイーツをつくってくださいました。
他の生徒さん達からも大好評でした！
お味付けは勿論のこと
やはり盛りつけが美しくて♪

苦戦している飲食応援の為に
自作のアマビエを持参しました。
（向かって左側は金山焼の作家さんの作、あまびえたん。
とてもキュートですね）
私のは向かって右の必殺仕事人のアマビエ様です。
久住さんのお店の邪魔にならないよう
一番小さく場所をとらないけど
最強な！？働き者のアマビエを派遣しましたよ（笑）
しっかり疫病退散と
良縁を運ぶように
心を込めて制作しました。


久住さんも、大のお月様好き。
月を追いかけ、どこまでも車をはしらせ
美しいお月様を見るために
年間スケジュールを計画してしまう程の
お月見の達人。

私もずっと、月のモチーフを
テーマに制作してきました。
月の魅力に
月の引力に引き寄せられたご縁も感じています。

上記の時計は店主、久住さん作。
骨董好きな久住さんのコレクションである
文字盤に自作の二十六夜月の陶板とのコラボ作品。
これも８年前の作品展の際に展示されましたね。

私の師でもあり
久住さんにとっても初代の陶芸の師
大松卓矢の遺作の香炉。

私と久住さんとのご縁も
一人の作家であり、師でもある
ひとりの人物の死から
はじまったとも言えます。

何かに導かれ
偶然ではなく必然で
出会い
別れ
生かされて
刻々とかたちを変える
月の満ち欠けのように。


美味しい珈琲と
静かな時間はいかがでしょう。
とてもいい時間を過ごせる空間です。

「月待チ珈琲店」
東京都八王子市片倉町2405-1
open 14:00~22:00
closed 月、火曜日

JR横浜線片倉駅　徒歩約3~４分
京王片倉駅　徒歩約5~６分

久住さん、またお邪魔しますね。
アトリエ方丈庵でも
お待ちしております。